2006年3月13日 (月)

●生涯現役主義のススメ

昔・・・・・人生50年。その多くは第1次産業に従事。定年がない。
現在・・・人生80年。その多くはサラリーマン。60歳になると定年がある。(2013年から65歳定年制が完全化)。定年後20年以上の期間がある。余生として生きるにはあまりに永すぎる。

大企業や公務員の場合のように、定年後の嘱託先、天下り先があるところはまだ良い。しかし、それでも一定期間しかない。一生続くわけではない。

そこで、生涯現役主義ということになる。ボケずに、お荷物にならずに、いきいきと生きるためにはどうしたらよいか。

三浦敬三氏
スキーヤー三浦雄一郎氏の父。還暦を超えてからエベレスト山系の氷河、キリマンジャロ山をスキーで滑り降りる。好きなスキーを生きがいに毎日を過ごしたことが、体を鍛え(弱らせず)、頭を鍛えた(百歳近くになっても原稿を書けた)。お金を得ることができた(講演・執筆・テレビ出演)。人の役に立った(多くの人がその生き方に感銘を受けた)。

森村誠一氏「虹の生涯」新撰組義勇伝
小説上の人物だが、元お庭番4人組の1人、名は和多田主膳。
家督を息子に譲った後、息子の嫁にも邪魔にされ、飼い猫と同じ飯を食べさせられる。毎日掘割で釣り糸をたれ、時間を無為に過ごしていた。偶然、嘱託の仕事を得、自分の剣術が人の役に立った。自尊心、お金、世の中とのかかわりの実感、誰かの役に立つという事実。人間としての自信を得、男としての自信も得た(廓で褥)、エピソード多数。

定年後に必要なもの、「生きがい」「お金」「誰かの役にたつこと」。
本人がやりたいと思うのなら良いが、やりたくないと思っている「ボランティア活動」などすべきではない。

最悪のパターン
サラリーマン時代は滅私奉公、会社がすべて。定年後、何もすることもなくなり、生きがいを失う。ボケる。

対策
サラリーマン時代から定年後の人生設計。やりたいことを作っておく。生きがいをみつけておく。自分の得意なことが生かせ、それが人のためになり、お金にもなることがベスト。

例えば、岡倉大吉的起業(「渡る世間は鬼ばかり」の岡倉大吉はサラリーマンを退職、割烹料理店の大将となる。自宅を改造して営業。手に職をつけ独立開業のパターン)

ネットで検索しても先駆者、お手本は多い。

(財)ベンチャーエンタープライズセンター/後援経済産業省のDREAM GATEというサイト“先輩起業家に聞け!”から抜粋。

もんじゃ・お好み焼きや「樽や」小澤敏男さん。1940年生まれ
「(定年後)自分に何ができるのか。地域に私の居場所はあるのだろうか。(中略)今、何かを始めるしかない」と建築設備会社を58歳で早期退職。
妻が調理師免許を取っていた。それを活かし、お好み焼きや「樽や」を1999年7月開業。
開業資金600万円。うち半分は信用金庫の融資。
ホームページ作成のために参加したIT講座が転機となり、シニア情報生活アドバイザーの資格を取得。NPO「夢育支援ネットワーク」立ち上げに参加。パソコン、デジカメを地域のシニアに教えている。ホノルルマラソン参加するなど好奇心あふれる活躍。

ITコンサルタント 亘鍋省次さん 1944年生まれ 2003年起業
血管の難病のため入院、手術、闘病生活。役職定年の58歳を間近に控え、独立を決意。
「久留米起業塾」が起業へ後押し。
36年分の経験、人脈を生かし起業。開業資金 300万円 車、パソコンなど

竹資源クリエイト㈱ 田中一男さん。1938年生まれ 
1999年定年退職 2001年現在の会社の前身企業を引き取る。2004年会社設立。
定年後、異業種交流会(ドリーム会)に参加。会社立ち上げサポートなどを行う。
赤字の会社の株を引き取り、代表取締役に就任。“竹は地球を救う”というコンセプトで竹フローリングをビジネスにする。

麦雑穀工房マイクロブルワリー 馬場勇さん 1945年生まれ
2003年開業。
大学で教鞭をとる一方、百姓仕事を趣味としていた。
58歳で退職し、麦の加工品としての地ビール醸造所を立ち上げる。工房の片隅にパブを設置。「お客さんが、私のビールを飲んでおいしいといってくれるのがいちばん嬉しい瞬間です」と語る。

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2006年3月 6日 (月)

●最近読んだ本 (3月6日)団塊の世代「黄金の十年」が始まる 堺屋太一著 文藝春秋刊

人生80年時代と言われて久しい。東洋の伝統的な思想では、人生は冬から始まるという。
冬:色は黒(玄)、シンボル(亀)、人生 幼年期(20歳未満)
春:色は青、シンボル(龍)、人生 青年期(20~39歳)
夏:色は朱、シンボル(雀)、人生 中年期(40~59歳)
秋:色は白、シンボル(虎)、人生 高齢期(60歳以上)
”人生は春から始まり冬で終わる”と考えていた。しかし、東洋思想はそうでない。
少年時代を黒い冬、玄冬という。冬を象徴する動物は亀(玄武)、その年代の人間は亀の如く地を這い、体力、知力を重ねるべきだというのだ。
青年期は春。青い春(青春)、象徴するのは青龍、このとき人生は雲を得て天に昇り飛躍する。就職、結婚、家庭、社会に存在感を示すとき。
中年期は夏。40歳からは人生の朱い夏、朱夏になる。象徴する動物は朱雀。人生では雀のように群がり派手に動くとき。
高齢期は秋。実りの秋、秋は淡白な季節、白秋。動物は白虎。自信を持って人生の収穫を楽しむべきだという。
そういえば、北:玄武、東:青龍、南:朱雀、西:白虎でもあるらしい。

団塊の世代はまもなく60歳になる。2007年には定年となる。団塊の世代は広義では1947年から1951年に生まれた世代。団塊の世代という用語は、筆者の予測小説「団塊の世代」で世に広まった。知価革命も同様。
団塊の世代後は次の3世代があるという。
1950年代生まれは、激減世代。
1960年代生まれは、ビトゥイーン。
1970~75年代生まれは、団塊ジュニアという。

戦後日本のコンセプトである、自由主義市場経済と官僚主導・業界協調体制の分析、団塊の世代と今後の10年間の予測・提言など、経済、財政、社会、歴史のあらゆる観点から、面白くわかりやすく解説されている。団塊世代の後尾の一員でもある私には、自分の過ぎ越し人生が、なるほどそうだったのかと整理されて示されたように思える。
団塊の世代には、不安にかられている人が多いと思われる。だが、ものの見方を変え、不安の正体(それはわが心の影)を見据えれば、ビジネスチャンスもあり、本当に黄金の10年が在るような気がしてくる。

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2006年2月27日 (月)

●最近読んだ本 (2月27日)危機管理対応マニュアル 東京商工会議所編

ポジションペーパー、PA、アカンタビリティ、と聞いて「○○のことだな」と合点のいく人にはこの本は必要はないかもしれない。
しかし、「危機管理対応マニュアル」東京商工会議所編(サンマーク出版)は、 一読しておいて損は無い。クライシスコミュニケーションに関してまとめてある。
企業の不祥事が起こると、緊急記者会見が開かれ、TVでも報道される。企業の重役が何人か出席し、深々と頭を下げる。スポ-クスパーソンとして、社長、専務、常務の役付役員のいずれか1人、補助説明者として1人または2人、司会進行役として広報担当責任者1人が緊急記者会見に出席する。記者会見では、まず謝罪、次いで原因の究明に触れる、現状に関する必要な情報の開示、最後に今後の方針表明。

ポジションペーパーは、ある問題について2者間で意見対立や相違が生じたとき事実関係、双方の主張などを時系列的・客観的に文書化したもの。
PAはPublic Acceptance法務のこと。法律が許すか許さないかの基準だけでなく、社会から許容されるかどうかの判断基準が、危機管理上から重要になるということ。

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2006年2月13日 (月)

●最近読んだ本 (2月13日)大野耐一の改善魂 日刊工業新聞社編

トヨタ強さの原点「大野耐一の改善魂」日刊工業新聞社編を読む。

こういう優れた先達者達が現在のトヨタの強さを作ってきたのだと改めて思った。特筆すべき点は、講演会のライブ録音CDが付属されていることで、大野耐一氏の肉声が聞ける。

トヨタ生産方式、ジャストインタイム方式などの産みの親であることは知っていた。しかし、実際どのような人物で、どのような業績であったか記述した本は目にしたことがなかった。

大野耐一氏は1912年(明治45年)2月、中国大連市に生まれる。
1932年(昭和7年)3月名古屋高等工業学校卒業、4月豊田紡織㈱に入社する。
1944年(昭和19年)トヨタ自工に移籍。
1954年(昭和29年)取締役就任。
1964年(昭和39年)常務取締役就任。
1974年(昭和50年)取締役副社長就任。
1978年(昭和53年)相談役就任
1990年(平成2年)ご逝去

大野語録というものが載っている。
「人は苦しまなければ良い知恵は出ない」の意味はこうだ。
改善には、作業改善、設備改善、レイアウト改善があり、この順番で改善を進めなければならないという。改善は知恵の塊だ。知識はカネを出せば買える。知恵はお金では買えない。恵みの文字が示すように誰でも持っている神様からの恵みだ。これを引き出す。困れば何か知恵がでる。困り方が小さいうちは知識、経験が邪魔をする。困った程度によって良い知恵が出る。

改善の前に標準化が重要だという。普通の人が普通にやれるのが標準作業、標準作業と言うと何か理想のものを作ろうとするが、それは間違い。標準を決めて皆がこれを守る。監督者は守らせる。これに対して、こうすればもっと良くなるというように現場の人達が意見をどんどん出していく。標準作業もどんどん変わっていく。

トヨタでは”自動化”と”自働化”がある。自動装置の自働化、すなわち無人化をトヨタによって完成したいと述べている。買った機械に知恵を付けることが(ニンベンのついた)自働化。自動機が不合格品をたくさん作ることはシゴトをしたことにならない。働いたことにならない。不良がでるときは自動的に機械を停止させることが自働化であるという。

”多工程持ちは作りすぎを防ぐ有効な方法”
”量が減ってもなお生産性を上げる方法”
”流れ作業と流し作業”
”止まらないラインはすばらしく良いか、よほど悪いかのどちらかである”などなど、読んでみると、「なるほどそういうことだったのか」というような示唆に富み味わい深い箇所が随所にある本。

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2006年2月 8日 (水)

●ニューヨーク証券取引所の売買単位

2月7日(火)日経新聞朝刊 ”一目均衡”「株式分割は悪くない」では、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買単位に関する次の記事があった。

以下一部抜粋
ニューヨーク証券取引所では「ラウンドロット」と呼ばれる百株単位の売買が多いが、「規制はなく1株からの売買も自由」(広報担当者)
抜粋終わり

この記事から推察すると、どうやらNYSEの売買単位は100株が原則と言うわけではないらしい。

Round Lot Order:An order to buy or sell in multiples of 100shears(NYSE のサイトから引用)
Round lot:売買単位
Odd lot:端株

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2006年2月 6日 (月)

●東証は株式売買単位の見直しの意向

東京証券取引所は、証券会社の相次ぐ誤発注の事態を重く受け止め、株式の売買単位を見直すという記事が2月3日(金)日経新聞朝刊に掲載されていた。

記事によれば東証だけで7種類の売買単位がある。
1株、10株、50株、100株、500株、1000株、3000株の7種類だ。

商法で単元株制度を採用する会社は、1単元の株式数が売買単位になる。1単元の株式ごとに1議決権が与えられている。
単元株制度を採用しない会社は、1株が売買単位になり1株につき1議決権が与えられる。

東証に上場している会社全体では、1000株を売買単位とする会社が最も多く1182社、全体の50.9%を占める。
次いで100株を売買単位とする会社が818社、35.2%。
三番目が1株を売買単位とする会社242社、10.4%。

1000株、100株、1株を売買単位とする会社の東証上場企業全体に占める割合は、96.5%だからこの3種類に限定することはできそうだ。

海外ではロンドン証券取引所は1株単位が基本とのこと。ニューヨーク証券取引所は100株が原則とのこと。

発行会社(上場会社)では、「誤発注は証券業界の問題。企業に負担を強いるのは筋違い」と言う意見。

記事では投資家の意見が無い。わかり易さと売買単位の購入価格の値ごろ感がポイントになるのだろう。

東京証券取引所は、株券が廃止になる2009年までに変更の意向を示している。1株を基本売買単位とするのか、100株を原則とするのか、どちらの結論を出すことになるのだろうか。それとも、別の解決策になるのだろうか。

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2006年1月29日 (日)

●最近読んだ本 (1月29日)国家の品格 藤原正彦著

「国家の品格」藤原正彦著が話題になっているらしい。2005年の11月20日に発行。2006年1月20日10刷が出ている。早速読んでみた。
読んでみて、実に歯切れがいい。「こんなにはっきりものを言っていいの?」と思えるくらい、実に過激だ。しかし、面白い。

筆者の藤原正彦氏は、東京大学理学部数学科、同大学院修士課程終了、現在お茶の水女子大学理学部教授。バリバリの数学者。
私のように数学が苦手の学生時代過ごした者には、その経歴だけでその展開されるものを鵜呑みにしてしまう力がある。
その上、昔、耽読したあの山岳小説の大家である新田次郎と小説家の藤原ていの次男であるというではないか。

「第1章 近代的合理精神の限界」の章の”デリバティブの恐怖”

著者が「資本主義も非常に危ない段階に来ている」と考える理由のひとつに”デリバティブ”の存在があるという。デリバティブはもともとリスクヘッジ目的であったが、最近では投機目的で使われている。たった3百万円で億単位の損得が生ずる可能性があり、これをレバレッジ効果という。
このレバレッジ効果で1995年には、イギリスの名門銀行ベアリングズが28歳のトレーダーによるデリバティブの大損で倒産した。彼は2兆円の相場を張り、7千億円の損失を出した。1998年にはLTCM、2001年にはエンロンがデリバティブにより立て続けに破産。

このデリバティブの残高が国際決済銀行の発表によると、2004年時点で1兆円の2万5千倍という。2京5千兆円というらしい。数学者である著者ですら呼び方がわからない(もちろん著者はわかっている。数学者はたいてい「10の何乗」と書いて済ませるのだそうだ)ような単位にまで、金融商品の残高が膨れ上がっていることは、明らかに「異常」である。実体経済とかけ離れたマネーゲームとなっている。

これら全てが投機的なものでないにしても、リスク率を4%と仮定して、1千兆円。大規模デリバティブが1つでも破綻すると、その瞬間に資金の流れは止まり、連鎖的に決済不能に陥る。1千兆円という数字は、銀行のリスク許容能力である自己資金の数倍にも達している。

デリバティブは、確率微分方程式というかなり高級な数学を用いた経済理論にのっとっている、論理の権化とさえいえるものだ。それが現状では最大級の時限核爆弾のようなものとなっている。しかもなぜか、これに強力な規制を入れることもできない。そもそもマスコミはこれに触れることすら遠慮しているという。

資本主義がその論理を追求していった果てに、資本主義自身が潰れかねないような状況にだんだんなってきている。それに付随する形で、物質主義、金銭至上主義が世界中を覆い尽くしていると言う。

「論理を徹底すれば問題が解決できる」という考え方は誤りだ。論理を徹底したことが、今日のさまざまな破綻を生んでしまったと言う。核兵器の拡散、犯罪やテロ、家庭崩壊、教育崩壊等の荒廃だ。この論理偏重の欧米型文明に変わりうるものが、「情緒」や「形」を重んじた、かつての日本型文明だと著者は言う。

「第7章 国家の品格」の章の”天才を生む国家の条件”

天才は、人口に比例してあちこちから出現しているのではない。一定の国、一定の地域からしか生まれていないと言う。著者が調べた結果、天才を生む土壌には3つの共通点(条件)があると言う。

第1条件「美の存在」
美の存在しない土地に天才、特に数学の天才は生まれない。イギリスは天才を輩出する国だが、イギリスの美しい田園風景が天才を生んでいると言う。インドの大天才ラマヌジャンについては、著者が初めてインドを訪れたとき、街の汚さに驚きこの条件にあてはまらないと思った。しかし、数年後に覚悟を決めて二度目の訪印。ラマヌジャンの故郷クンバナコムという田舎町まで行く。そこでとてつもなく豪壮な美しい寺院に出会う。ラマヌジャンは「なぜそんなことを思いつくのか見当もつかない」というタイプの天才。アインシュタインの特殊相対性理論は、アインシュタインがいなくても2年以内に誰かが発見しただろうと言われていると言う。ラマヌジャンの公式群は、圧倒的に美しいのに必然性がまるでわからないという。

第2条件「跪(ひざまず)く心」
何かに跪く心が無いところには天才は生まれない。イギリスは伝統に跪いている。南インドではヒンドゥーの神々に、日本では神や仏、偉大な自然に跪いているという。

第3条件「精神性を尊ぶ風土」
役に立たないことをも尊ぶという風土。文学、芸術、宗教など直接に役に立たないことをも重んじる。金銭や世俗的なものを低く見る。そういう風土が天才を生むための条件のひとつであるという。
そして、これら3条件を日本は見事に満たしていると著者は言う。

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2006年1月15日 (日)

●最近読んだ本 (1月15日)信長の戦争 信長公記に見る戦国軍事学 藤本正行著

年末年始の休みに、「信長の戦争」~”信長公記”に見る戦国軍事学~藤本正行著、講談社学実文庫を読む。

「信長の戦争」は、”信長公記”に見る戦国軍事学”というサブタイトルが付いている。”信長公記”は信長の家臣であった太田牛一という人物が記録したもので、太田牛一にとって上様にあたる信長公の一代記を綴ったものだ。織豊政権の歴史研究者の間では第一級の資料として高く評価されているらしい。

藤本正行氏は、この”信長公記”を基に、信長に関わる多くの定説、俗説を丹念に分析した結果、新しい説を打ち出した。例えば、「桶狭間の合戦」が、奇襲戦ではなく正面突破の戦であったと主張する。
永禄3年(1560年)5月19日、駿河・遠江・三河の大軍4万5千を率いた今川義元は尾張の国境である桶狭間に軍を休めた。小勢3百を率いた織田信長はこれを急襲し今川義元の首級をとる。
氏は、桶狭間の合戦は信長の迂回・奇襲戦ではなく正面攻撃であると断定している。奇襲戦を創作したのは、江戸初期の作家小瀬甫庵であり、小瀬甫庵はその著書「甫庵信長記」で劣勢の信長が義元本陣に奇襲をかけ撃破したという話にしたのだという。

これまでに私が演劇や小説で得ていた「桶狭間の合戦」の筋書きは、おおよそ次のようなのものだった。
今川義元が天下を取ろうとして京に上る。進軍の途上には、その頃、ようやく尾張を統一した織田信長がいる。今川勢3万余、織田勢3千。織田軍は到底勝ち目がない。信長は街道筋に多くの諜報をおき今川方の動きを探る。清洲城で軍議を開く。籠城策、野戦策がでるが、信長は軍議の席で大の字に寝転がっているばかりで、一言も発しない。そこへ、今川義元の本陣が桶狭間山で休憩を取っているという諜報が駆け込んでくる。

信長は敦盛の舞をまう。「人間50年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり。滅せぬもののあるべきか。滅せぬもののあるべきか」。信長は一人馬に乗り出陣。家来衆がこれに遅れじと続く。途中、熱田神宮で必勝祈願。急に雨が降り出し、風もはらむ。間道を抜け、激しさを増した風雨に馬の足音が消され、今川義元がいる本陣近くまで気づかれずに進軍。信長の大音声がとどろく、「目指すは義元が首、手柄をあげるはこのときぞ。かかれぇい」。

この合戦は、今川義元が、尾張・三河国境に近い織田方の、鳴海城、大高城を奪い取ったため、信長軍がこの2城の動きを封ずるために丹下・善照寺・中嶋・丸根・鷲津の5砦を築いたことに始まる。今川勢は鳴海城の奪回のため兵を動かした。従ってこの戦は、当時としてはごく平凡な、群雄間の境界争いの結果起きたローカルな事件だった。義元が天下を取ろうとして京に上るため、信長と衝突したというのは、甫庵の創作だと藤本氏は述べる。

籠城策が出たというのも創作であると氏は言う。清洲籠城策は、「鷲津以下の砦の将兵を見殺しにしろ」ということで、砦の将兵には織田一族や重臣一族も含まれており、軍議の席で彼らを見殺しにしろと発言する者などいるはずがないと説く。

信長は清洲城を出て善照寺砦に入る。今川方は、鷲津・丸根砦を落とした時点で善照寺砦を監視下に置くことができた。信長が進軍中に鷲津・丸根砦が落ちたことを知ったにも関わらず善照寺砦に入ったということは、その行動を隠蔽する意思がなかったことを示している。従って、信長は最初から奇襲で義元を討ち取るつもりはなかった

信長は善照寺砦を出て、桶狭間山めがけて正面攻撃を開始。信長が山際まで軍勢を進めたところで豪雨になる。義元の前軍が簡単に崩れる。義元の旗本も退却を始める。追撃中に敵の旗本を補足。信長はここで初めて義元に狙いをつけ、ついに倒した。従って、信長が「目指すは義元が首」などと攻撃を仕掛けた時点で言うはずがない。

歴史の真実とフィクションとは、今さらながら似て非なるものだとあらためて思った。この本を読んだ後、信長について書かれた小説などを読み比べてみるのも面白いかも知れない。

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2006年1月12日 (木)

●NHK新番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」第1回放送を見て考えたこと

昨日は仕事で少し飲んで帰宅したためか、TVを見たまま寝てしまった。ふと起きるとNHK新番組をやっていた。プロジェクトXの後番組だった。これは再放送で深夜1:10から1:53分まで毎週水曜に再放送されるらしい。寝ぼけまなこで見始めびっくりした。

第1回”信じる力が人を動かす”リゾート再生請負人・星野佳路、だった。
リゾート施設が行き詰まる、星野氏が再生する、そのプロフェッショナルぶりを取材している。

星野氏は軽井沢の老舗旅館の長男として生まれた。大学を卒業後アメリカでホテル経営を学ぶ。31歳の時、後を継いで社長となり、アメリカ流のトップダウン経営で一流ホテルを目指す。接客マニュアルを作る。しかし社員の3分の1が辞めた。職安に行っても人は集まらない。業績も下がる。

星野氏は考えた。
若手に任せてみよう。結婚式場のカメラマンをやっていた人(男)だった。
責任者としての役割だけをレクチャーし後は任せた。最初のうちは星野氏にどうしたらいいか聞いてくることが多かった。しかし次第にそれが減ってきた。やりがいが生まれた。生き生きと働き始めた。シャンパントーストなどのアイデアがでる。新しい結婚式の提案だ。ホテルの人気がでる。社員は自分たちの道が見えた。

従業員に仕事を任せてやり方を考えさせる。そして任せる、やる気が生まれる。星野氏は確信した。”信じる力が人を動かす”。任せれば人は自分で考え、楽しみ、やる気を出す、動き出す。

「リゾート再生はなぜできる?」インタビュアーが聞く。星野氏が答える、「ホテルに残ったスタッフが自立できることを考える。もともと、ホテルのスタッフは、お客に楽しんでもらいたいと基本的に思っている。それを信じる。」
星野氏は社長室を持たない。稟議など書類もない。パソコンだけだ。

画面は、静岡県のある行き詰まったホテルにいる星野氏を映し出している。従業員が一室に集まって意見を交わす。これまでのお客の特性、どういうお客がリピィーターとなったかなど、徹底したマーケティングリサーチをおこなう。「リピィーターについて書き出してみましょう」。どんな人がこれまで泊まってどういう感想があったか。キーパーソンは誰か。
これは、SWOT分析そのものだ。強みの書き出しだ。結局、キーパーソンは熟年女性に決まった。
「コンセプトを作りましょう」と星野氏が言う。「誰に何を提供するか決めましょう」。メインターゲットは誰か(WHO)、何を(WHAT)、どういう方法で(HOW)提供するかについて決める。コンセプトというが、これは経営理論では、ドメインだ、生存領域だ。コンセプトは「熟年女性のマルチオケージョン」と決まった。どの客層を狙えば我々の旅館の強みが生かせるかについて明確になった。
自分たちの持つ強みを最高に生かして、事業機会を活用する成功要因CFS(Critical Success Factor)の発見だ。これを当たり前のように従業員が自ら考え、楽しんでいるではないか。私がびっくりしたというのはこのことだった。

さらに、星野氏は言う。「最も正しい」コンセプトより、従業員が「最も共感できる」方を選ぶ。「大切なのは従業員の共感」。「コンセプトに正解はない」。経営はやってみなければわからない。

たしかに、人の意識、価値観、好みは変化し続ける。思考の柔軟さが不可欠だ。経営は固定した理屈ではやれない。

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2006年1月10日 (火)

●家計調査と団塊世代調査が意味するもの

平成15年の家計調査(総理府の調査)によれば、全国の各世帯が所有する貯蓄残高を200万円単位ごとにその分布状況を示すと次のようになります。

貯蓄残高が200万円未満の世帯が最も多く13.3%、200万円以上400万円未満10%、400万円以上600万円未満9.9%、600万円以上800万円未満9.4%、800万円以上1000万円未満9.4%となっています。
1000万円未満の家計がb170252.0%を占めています。平均値は1690万円ですが、約3分の2(67.8%)の世帯が平均値を下回っています。
また世帯全体を2分する中位数は1027万円となっています。

←ココをクリックすると拡大図になる。<出所:総理府 家計調査>

さらに、60歳以上の世帯の貯蓄の合計は全貯蓄の半分以上であり、その平均残高は2424万円というデータもあります。つまり、1400兆円といわれる個人資産は、60歳以上の人々によって半数以上保有され、その平均額は2400万円です。しかし60歳以上の高齢者のうちでも2400万円を超える世帯は高齢者世帯全体の約3分の1にすぎません。したがって、限られた資産家の高齢者の方が全体の平均値をあげているのであり、全世帯の約半分は貯蓄額1000万円以下なのです。

なお最新のデータである平成16年家計調査では、貯蓄残高が200万円未満の世帯13.8%、200万円以上400万円未満10.8%、400万円以上600万円未満9.2%、600万円以上800万円未満8.9%、800万円以上1000万円未満7.3%です。
1000万円未満の家計世帯が50%、平均値1692万円、中位数1024万円となっています。

平成17年は、最近の株式相場の上昇を反映して、その資産効果が期待されるところです。

ところで、一昨日の1月8日(日)日経新聞に、団塊世代(1947年から1949年生まれ)の給与所得者に対する定年後についてのアンケート調査が掲載されていました。団塊世代においても貯蓄や退職金で二極化が鮮明になっているというのです。
「保険を除く世帯全体の金融資産は現在いくらあるか」の質問に対し、500万円未満34.4%、500万円以上1000万円未満19.2%で、1000万円未満が53.6%とほぼ半数になっています。
また、「退職一時金はいくらもらう予定か」に対しては、退職金なし25.6%、500万円未満22.8%で、0から500万円未満が48.4%でほぼ半数だというのです。高齢化が 急速に進むわが国ですが、老後の生活においても二極化が進んでいくのでしょうか。

*免責事項

当ブログに掲載している情報に関して、細心の注意を払っておりますが、掲載した情報に誤りがあった場合や、第三者によりデータの改ざん、データダウンロード等によって生じた障害等に関し、事由の如何を問わずに一切責任を負うものではありません。また内容についていかなる表明・保証をおこなうものではありません。また、予告なしに、中止や内容の変更をおこなうことがあります。

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2005年12月26日 (月)

●EDINETが進化しています

EDINETが進化し、使い勝手が良くなっています。
Electronic Disclosure for Investor's Networkの頭文字をとって、通称「エディネット」と呼んでいます。有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システムのことです。
証券取引法第270条の30の2から第270条の30の11で規定されています。

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有価証券届出書、有価証券報告書、公開買付届出書などは、EDINETを使用しての財務局への開示が義務付けられています。
上場会社の株式等を5%超保有する者は大量保有報告書を財務局に提出しなくてはなりませんが、EDINETの使用は任意となっています。
ですから紙媒体で提出できるのですが、最近ではこの紙媒体で提出したものもPDF形式にして、EDINETで簡単に見ることができるようになっています。
会社や自宅に居ながらにして大株主の異動がインターネットで調べられるようになりました。紙媒体で提出しておいて開示をこっそりとしておきたいと考える人もこれではお手上げのはずです。
さらに大株主である個人名や、法人名、ファンド名を入力するとこれも簡単に検索ができるようになっています。
また、有価証券報告書については、EDINETデータ(html)のほかにPDF化してくれているので、これまでのように必要箇所をプリンターで印刷しておかなくても、PDFファイルを保存しておくだけで済むなど便利になりました。

edi2

財務局では、平成17年度予算に897百万円の予算を計上して、EDINET開示システムの充実強化に取り組んでいるとのことで、平成16年7月から平成17年6月までのサイトアクセス目標113千件、平成17年7月から平成18年6月までのサイトアクセス目標123千件に設定しているそうです。

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2005年12月19日 (月)

最近読んだ本 (12月18日)直伝 藤巻流私の個人資産運用法 藤巻健史著

「直伝 藤巻流私の個人資産運用法」

 著者:藤巻健史氏

 発行所:講談社

 20051121日 第1刷発行

序章  私はどのようなポートフォリオを組んでいるか?

この序章では、著者はご自身の資産運用のスタンスを述べています。

そして、「もし私の真似をした行動をして損をされても私は、まったく責任をとらない。損をしても自己責任である。儲けた時だけ藤巻の貢献だとご理解いただきたい」とのっけから小気味の良い書き出しで始まっています。

著者は、三井信託銀行(当時)を経て、モルガン銀行(当時)において、自己売買取引で巨額の利益をあげ、東京市場「伝説のトレーダー」と呼ばれ、2000年退行後㈱フジマキ・ジャパンを設立した経歴の持ち主です。

そのポートフォリオは「インフレ対応型」で、著者は「日本は遅かれ早かれインフレがくる、インフレが来るのなら不動産や株を持ち、長期固定金利の安い今のうちに借金をしなければ自分の財産が守れない」と説きます。

なぜ遅かれ早かれインフレがくるかというと、それはこう説明しています。

国は、毎年44兆円の収入がある。毎年84兆円の支出をしている。したがって毎年40兆円の赤字がでる。これを国債発行で補っているが、累積赤字は貯まりにたまって800兆円(2005年6月現在)にもなった。

家庭の例で言えば、毎年440万円の収入の家庭が840万円使ってしまっている。その結果、毎年400万円ずつ増え、借金が8000万円にもなってしまったということだ。

確かにたいへんなことで、「将来金利が払えるかどうか」が問題で、もしこの家庭が変動金利で全て借りていたとすると、市中金利が1%上がると80万円増える。今より金利が6%上がると収入は全て金利支払いに消えてしまう。

著者は、国がここまで巨額になった財政赤字に対しての解決方法としては、次の4つが考えられると説明します。

1.消費税率の引き上げ

これは1%の引き上げでせいぜい2兆円の増収、8000億円の累積赤字を減らすのは難しい。

2.景気を良くして税収増加

あの供覧経済のバブル時でさえ60兆円の税収プラス。景気回復による税収増が金利支払いに追いつかない。

3.徳政令

現実味がない。

4公務員の方、給料をがまんしてくださいというもの

現実味がない

そこで残された方法として「インフレ政策」というのです。

以下、この本の章立ては次のようになっています。

第1章 景気予想には資産価格の動きがもっとも大事

第2章 世界経済・世界の資産価格の動き

第3章 日本の資産価格の動き

第4章 為替マーケットの今後

第5章 日本の株式市場の今後

第6章 日本の不動産市場の今後

第7章 円金利の今後

第8章 米国経済の今後

第9章 中国経済、人民元切り上げについて

10章 商品市況(石油・金)の動きについて

11章 へヘッジファンドはマーケットを動かすか?

12章 日本を取り巻く諸問題(増税問題)

13章 日本を取り巻く諸問題(ものづくり日本の将来)

14章 日本を取り巻く諸問題(米銀に対する邦銀の立ち遅れ)

第4章為替マーケットの今後では、日米金利差拡大によるドル高を予想する見解をとっています。なぜ日米金利差がドル高をもたらすかについては、私のような為替についての知識が皆無な者でも理解できるよう、具体例をあげわかりやすく説明しています。

為替のマーケットの仕組みを、一流のトレーダーから教わっているような気分になります。

第5章日本の株式市場の今後では、株価については、著者は強気の見解をとっています。

その理由として次のように述べております。

1.円安が進み景気が良くなる。

2.政府がインフレ対策を取らざるを得なくなる。

3.ライブドア対フジテレビなどの経験で、日本の経営者が株主を大事にする。配当金を上げ株価上げにいっそう努力する。

テーマによっては知識がないと理解できない専門的なところも多々ありますが、全般的に明快な論説が展開されているため、読んで面白く、著者の別の本も読んでみようかなという気をおこさせる著書でありました。

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当ブログに掲載している情報に関して、細心の注意を払っておりますが、掲載した情報に誤りがあった場合や、第三者によりデータの改ざん、データダウンロード等によって生じた障害等に関し、事由の如何を問わずに一切責任を負うものではありません。また内容についていかなる表明・保証をおこなうものではありません。また、予告なしに、中止や内容の変更をおこなうことがあります。

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2005年12月12日 (月)

最近読んだ本 (12月11日)椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる 酒巻久著

「椅子とパソコンをなくせば会社は伸びる」

 著者:キヤノン電子社長  酒巻久氏

 発行所:詳伝社

 平成17年8月5日初版第1冊発行

“タイトル名”と帯の“キヤノン電子の5年間の経営実績”につられて読んでみました。

帯のキャッチコピィ内容は、次のようなものです。

1995年売上高750億円、2004年売上高835億円 売上は微増

1995年経常利益11億円、2004年経常利益107億円 経常利益は9.7倍に!

1995年利益率1.5%、2004年利益率12.8% 利益率は8.5倍に!

そこで、有価証券報告書を調べてみました。

この数字は、キヤノン電子の単体の数字(12月決算)です。連結子会社が2社ありますが、連結財務諸表は、ほとんど単体の数字と変わりません。間違いなく経常利益はこの5年間で9.7倍になっています。

この本は、第1章から6章で構成されています。

第1章           赤字部署、赤字会社の立て直しを命じられたときには

第2章           なぜ会社から「椅子」をなくしたのか

第3章           「パソコン」は怠惰の隠れ蓑

第4章           今日から始められる「会社の垢すり」教えます

第5章           社員の「自主性」を育てる仕組みづくり

第6章           リーダーに求められる資質

著者はキヤノン㈱に入社後、ファックスやPC等の開発の従事し、96年常務取締役生産部長、99年キヤノン電子の社長に就任。

2000年からすべての会議室から椅子を撤去し、立ったまま会議を行うようにしたところ、年間会議の回数が44%の削減、会議時間が56%も削減したというのです。具体的には、経営会議にまる2日、16時間かかっていたものが、4~6時間、早ければ午前中に終わるようになったというのです。

さらに、立つことのメリットとして次の4メリットをあげています。

     椅子代が激減する

     椅子をなくした分だけスペースの節約になる

     新聞が早く読める

     社員が健康になる

「社員がパソコンに向かっていても仕事をしているとは限らない」、キヤノン電子情報セキュリティ研究所の調査レポートを引用し、社員のパソコン利用に関するおどろくべき実態を紹介しています。同研究所のデータによると次のようなことが言えるというのです。

利益率が1~5%の会社ではパソコンの業務外利用が全社平均で30~40%に達している。

つまり、社員にパソコンを与えるとメールやインターネットで遊ぶ時間が30~40%も増えるというのです。パソコンのネット利用が会社の利益を食いつぶしており、あるD社(従業員300人)の場合、パソコン業務外利用は年平均66時間、そのために生じる逸失利益は1億1千万円に上ったというのです。パソコンの業務外利用が4割を超える会社は、社員を半分にできるというのです。

この本では、このほかにも実際の経営の現場で役立ちそうな示唆に富む話が随所に出てきます。例えば、「オフィスのごみの大半は家庭からの持ち込みゴミ」、家で捨てれば無料のゴミも会社のゴミとなると有料になる。そこで、会社からゴミ箱の撤去をする。

「朝の挨拶の重要性」「机まわりが汚い会社は成長しない」等々、今日からでもすぐに取り組め、効果が出るものに枚挙にいとまがない。

 「椅子」にしろ、「パソコン」にしろ、「ゴミ箱」しろ、これらを「無くす」といったびっくりする方法を考え、具体的な目標値を社員に与え、全社的な生産性向上運動にまで結び付けてしまうという知恵と経営手法には、「目からうろこ」でありました。

 また、キヤノンには、自覚、自発、自治の「三自の精神」があるとのことですが、人を育てるのは、教えるのではなく「自分で気づかせる」ことだというのです。若い設計者の仕事を見ていて、経験的に「これでは失敗するな」とわかっていてもそこでは教えない。失敗するまで放っておく。自分で気づくまで待つ。正しい失敗のプロセスを経験した人は、次から二度と同じミスを犯さないというのです。自動車で軽い事故を一度も経験したことの無い人は、10年、20年してから人生を左右するような事故に遭遇することが少なくないという。最初のうちに車庫の出し入れで横腹を摺ったり、スーパーの駐車場で隣の車にぶつけたりと小さな事故を経験して運転技術を伸ばしていくのと同じだというのです。

会社が長期的に安定し成長していくためには、個々の社員の成長は絶対に必須です。パソコン等の普及で社員がブースに囲まれ、対面のコミュニケーションが薄れていく中で、技術や知識・ノウハウの先輩から後輩への伝承が今問題になりつつあります。ナレッジマネジメントの点でも参考になる本でした。

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2005年12月 3日 (土)

割安株はどうやって見つけるか

「割安株はどうやって見つけるか」。このテーマの解決のヒントになりそうな記事が週間ダイヤモンド2005年12月3日号、特集「決算書の読み方・図解 株式投資に勝つ!」に掲載されていましたので、私の見解も交えご紹介しようと思います。(詳細は、同誌をご覧ください)

この記事によると、「さわかみファンド」という株式投信が着実な実績で多くのフアンを集めているというのです。

このファンドがどのくらいすごいかというと、1999年8月、わずか16億円の純資産額でスタートした投信が、2005年11月15日には1,380億円、基準価額1万6,266円、口座客数6万3000人に達したというのです。

さわかみファンドは、直販方式(証券会社の手数料稼ぎの道具となることを避けるためだそうです)と本格的な長期運用に特徴があり、特に注目すべきは澤上篤人氏の「ダイナミックアナリシス」(動態分析)という方法です。

まず“会社の業績と株価は連動する”という前提に立っていると思いますが、株価と企業業績の関係から見て過小評価(割安)されている株価を買い、過大評価(割高)されたと思えるときに売却する。この動態を10年くらいの長期スパンで捉え分析し、対象企業が「利益成長のどのあたりにいるのか」を探りと投資判断するというものらしいのです。

その詳細はもちろん秘密なのでしょうが、記事によれば、“大河ドラマを追いかけるように登場人物(財務項目)を綿密に検証する”手法らしいのです。

  10年分くらいの財務諸表を横に並べて、各項目の増減をそれぞれ時系列に分析する。

  その増減が将来の利益にどう貢献していくか推測していく。

  5年先ぐらいまでの予想財務諸表作成し、予想ROEなどの将来価値を算出し、それを現在の評価と比較して投資判断を下す。

この手法でどのような財務項目が使われているのか、実に興味のあるところです。

週間ダイヤモンド2005年12月3日号では、Part1・「投資対象とタイミングを見極める財務データの使い方」(さわかみファンドの記事)に続いて、これに関連すると思われるPart2・「ここを押さえれば大丈夫”投資・財務指標“活用法」で指標として次のものをあげています。私なりに整理してみました。

①PER(Price Earning Ratio:株価収益率) 算式(PER=株価÷EPS)

②EPS(Earning per Share:1株当たり利益) 算式(EPS=利益÷株数)

③BPS(Book-value per Share:1株当たり資産) 算式(BPS=自己資産÷株数)

④ROE(Return on Equity:自己資本利益率) 算式(ROE=利益÷自己資本)

⑤財務レバレッジ 算式(財務レバレッジ=総資産÷自己資本)

⑥ROA(Return on Assets:総資本利益率)算式(ROA=利益÷総資産)

⑦総資産回転率 算式(=売上高÷総資産)

⑧売上高利益率 算式(=利益÷売上高)

株を買おうとする場合、「割安なものを買って、割高なものを売れば良い」ということは、誰でも理解できます。しかし、割安なものは何によって判定するか」、その“ものさし”がPERです。PERは、株価が1株当たりの税引後利益(EPS)の何倍しているかを表しています。

10倍ならEPSをすべて配当として受けとったとして10年で投資額を回収できるというわけです。ちなみに2005年12月1日に、5年ぶりに東証日経平均株価の終値が1万5千円を超えましたが、この日経平均株価のPERは22.1倍(日経新聞朝刊より)でした。これをまだ安いと見るのか、そろそろ良い水準に戻ってきたかで投資スタンスが分かれるところでしょう。

割安な、つまり、低PERの株も買い進まれて、需要と供給がバランスすれば、次第に高PER(割高)になってしまいます。しかし、高PERの株は、いろいろな要因で、株価が下がるか、EPSが高くなるかによって、再び低く(割安)になります。高くなったり、低くなったりの変動を繰り返すというわけです。PERは、過去からの変化や競合企業との比較が大切になります。また、業績予想や収益の見通しによって変化します。

株式投資にとって、企業の収益性と成長性が重要視され、財務諸表もその視点から分析しなければならないというわけです。

イ.PER株価EPSで構成される(PER=株価÷EPS)

ロ.EPSBPSROEで構成される(EPSBPS×ROE)

ハ.ROE財務レバレッジROAで構成される(ROE財務レバレッジ×ROA)

ニ.ROA総資本回転率売上高利益率で構成される(ROA総資本回転率×売上高利益率)

①から⑧の財務指標は、「イ.~ニ.」で色付けした指標によって連関しています。この8つの指標をツールとして、将来予測も踏まえて、企業における財務数値の長期間の推移・今後動向を綿密に分析することで、割安株の発見ができるのではないかと私は思うのですがどうでしょうか。

(注)参考資料・データ:


週間ダイヤモンド2005年12月3日号、

2005年12月2日(金)日経新聞朝刊

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2005年11月28日 (月)

個人投資家は何を投資判断としているか

2005年11月27日(日)、つまり、昨日の日曜日の朝日新聞“メディアウォーズ12~私はこう見る~”は、「会社は誰のものか」というテーマです。記事の内容は、キヤノン社長で次期経団連会長に就任される予定の御手洗富士夫氏に対するインタビューをまとめたものです。同じページの経済面欄で隣り合わせて、敵対的買収に対する「黄金株」などについて、東証、金融庁、経済産業省の見解の差に関する記事が取り上げられています。

インタビユーなのでQ&A形式です。

Q.「会社は誰のものか」A.株主だけでなく、従業員や経営者、取引先、顧客もステークホルダー(利害関係者)だ。日本のように終身雇用でやっている国では、従業員のステークホルダーとしての重みはかなり大きいだろう。私は、キヤノン株を長期間持ち続け、長い目で会社を育ててくれる株主に焦点を当てて、配当中心の株主政策をやっている。株を今日買って明日売るような株主には焦点を当てていない。

この囲み記事の中には、「会社の所有と経営のあり方」について、“インターネット利用者へのアンケート結果”として、ヤフーとインテージが、ネットを通じて2005年6月に実施したアンケート結果が掲載されています。回答者はヤフーのリサーチモニター544人となっています。以下その内容です。

Q.会社は誰のものだと考えますか?

アンケート集計結果

  株主31.6%

  社員25.2%

  代表取締役15.6%

  社会全体15.3%

  社長7.4%

  その他4.9%

Q.株による会社支配についてどう考えますか?

アンケート集計結果

  資本主義において当然のこと48.9%

  マネーゲームのようで違和感がある33.6%

  どちらともいえない・よくわからない17.5%

Q.あなたにとって企業価値とは?

アンケート集計結果

  時価総額22.1%

  企業への共感の度合い54.2%

  どちらともいえない・わからない23.7%

Q.企業のどのような側面を重視して投資判断をしていますか?(株保有者のみに質問。複数回答)

アンケート集計結果

  収益性84.0%

  知的財産(ブランド価値を含む)38.7%

  経営陣の能力30.4%

  社会的責任23.2%

  リスク管理17.0%

  社員の能力14.4%

  環境適応14.4%

この他に個人投資家の投資判断について調べたものとしては、日本証券業協会 個人投資家を考える研究会がおこなったグループインタビユー調査があります。(調査期間:2004年11月20日から12月11日、調査対象地域:東京・大阪・金沢・高松の個人投資家、潜在投資家各男女2グループずつ、計16グループ96名)

Q.あなたは投資先企業を選択する際に以下の項目をどの程度重視していますか?

以下、「重視している」回答した項目とその比率を多い順に列挙します。

 購入に必要な価格の水準(売買単位)82.4%

 業績・財務予想76.7%

 一定期間で見たときの株価水準74.5%

 知名度71.9%

 新製品・新事業などの情報67.8%

 配当66.5%

 業界動向64.7%

 ブランドや企業イメージ62.3%

 企業規模58.0%

 経営戦略・経営計画・経営ビジョン56.5%

 業種55.3%

 株主優待54.9%

 情報公開の姿勢54.8%

 株価の短期的な値動き53.9%

 取引高の変化や水準53.5%

 PER等の株価指標51.9%

 身近な製品・サービスを提供している50.5%

 ROE等の財務指標45.5%

 経営者43.9%

 環境への配慮など社会的責任に関わる姿勢39.8%

 社風や社内環境29.3%

 アナリスト・証券会社の投資推奨格付け27.7%

 証券会社の外務員からの推奨17.5%

 家族や友人、知人の推奨17.2%

この2つ調査結果はどう読んだら良いのでしょうか。いろいろな見解があるところでしょう。

私見としては、2つのアンケート結果で共通しており、個人投資家が投資判断として重要視している上位項目のうち、次の3つが重要だと思います。

①収益性、業績・財務予想

②知名度

③知的財産、ブランドや企業イメージ

「この会社は儲かっているだろうか」「この会社名や商品名は知っている」「この会社のブランドや企業イメージはどうだろうか」と視点で、個人投資家は会社を選別しているのです。ただし、個人投資家の場合は、自分の投資できる資金額の制約があるので、「買いたいけどもう少し安ければ買えるのだが」と株価水準(投資単位)を重視する項目のトップにランキングしているのです。

 また、ヤフーのアンケート結果では、「あなたにとって企業価値とは?」に対して、“企業への共感の度合い”54.2%と回答し、“時価総額”22.1%を大きく上回っていることが注目されます。会社に対するイメージやブランドへの共感が、投資判断のポイントになっていることがうかがえます。

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2005年11月23日 (水)

NASDAQの最近の動向

前回は、世界の3大証券取引所として、New York Stock Exchange (NYSE)、Tokyo Stock Exchange(東証)、London Stock Exchange(LSE)を取り上げました。しかし、世界の証券市場といった場合、NASDAQ(米国)を抜きにすることはできないでしょう。そこでNASDAQについて調べてみました。

NASDAQの歴史は、おおよそ次のようです。

1961年 議会が証券取引委員会(SEC)に店頭市場でのフラグメンテーションに関する権限を与え、SECは全米証券業協会(NASD)にオートメーションよる展開を義務づける。

1971年 NASDAQ(National Association of Securities Dealers Automated Quotation )Systemによる2,500銘柄の取引を開始

1988年 高度にコンピュータ化された売買執行システム(ACES)により、マーケットメーカーが自動的に大量の注文を実行することが可能となる

1991年 ヨーロッパにおいてナスダックインターナショナルサービスを開始

1998年 香港証券取引所と提携 

1999年 売買代金で世界最大の市場となる。ナスダックカナダ開始。ナスダックジャパン開設に合意

2000年 ナスダックジャパン 大阪証券取引所に開設

2002年 ナスダックジャパン撤退。より高い透明性、流動性アクセス、安定的なトレーディングを発揮するSuperMontage稼動

2003年 ナスダックドイツ撤退。ナスダックヨーロッパ撤退

2004年 ニューヨーク証券取引所銘柄を重複上場

2005年 Nasdaq Stock Market, Inc.ナスダック市場に上場

NASDAQは、その歩みを始めたときから現在に至るまで、コンピュータと通信ネットワークによって投資家と証券会社を結ぶ世界最大のコンピュータネットワーク証券市場であり、2002年にSuperMontage(スーパーモンタージュ)稼動するなど、現在も進化し続ける巨大OTC(店頭)市場といってよいでしょう。

1999年には売買代金で世界最大となり、2000年にはNYSEの11兆550億ドルを凌駕する20兆3,950億ドルに達しました。しかし、ITバブルの崩壊とともに2004年には4兆2,670億ドルにまで減少しています。これはピーク時の20%、激減というべき数字です。

最近の15年間を概観すると、1990年代はNASDAQにとって、海外進出の時代というべきものでした。海外との提携を活発化させ、ヨーロッパ、香港、そして日本へ進出します。しかし、2000年代に入ると一転、ヨーロッパ、日本からの撤退というめまぐるしい動きをみせました。2004年には、ニューヨーク証券取引所銘柄を重複上場するなどの新しい動きも見られ、米国内市場の足元を固める戦略に変わっています。

NASDAQは、ナショナルマーケット(NM)とスモールキャップマーケット(SM)で構成されています。

ナショナルマーケットは、取引所上場銘柄並みの企業が対象で、スモールキャップマーケットは、創業間もない、小さい企業向け市場です。

最近の上場企業数の月別推移は次のようになっています。

         NM     SM    計

2003年 1月   2,784       836       3,620

2003年12月   2,648       685       3,333

2004年 1月   2,633       681       3,314

2004年12月   2,649       622       3,271

2005年 1月      2,639       615       3,254

2005年 4月      2,636       599       3,235

2005年 7月      2,643       589       3,232

2005年10月      2,640       568       3,208

2003年1月3,620社あった上場企業数が2005年10月現在では、3,208社の減少しています。これは、2003年度において、スモールキャップ企業の上場廃止が毎月10数社程度発生したためです。

最近の売買金額の月別推移は次のようになっています。

         計 (単位:10億USドル)

2003年 1月   453.69

2003年12月   336.00  2003年累計4,541.95

2004年 1月   429.25

2004年12月   476,70 2004年累計4,266.62

2005年 1月      463.96

2005年 4月      428.43

2005年 7月      411.44

2005年10月      449.24 2005年10ヶ月累計4,377.49

2005年の1月から10月までの推移を見る限り、月間売買金額で4000億ドルを切る月は1月も無く好調な推移が続いています。2005年10月までの10ヶ月間で、既に2004年の年間売買高を超えており、2003年も上回ることは確実となっています。

(注)参考資料・データ:財団法人 日本証券経済研究所刊 「図説 アメリカの証券市場 2005年版」、NASDAQのWebsite。

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2005年11月11日 (金)

世界の3大証券取引所

わが国における証券取引所としては、東京証券取引所を始めとして、大阪証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所、ジャスダック証券取引所があります。ところで、ワールドワイドで眺めた場合、わが国の証券取引所、とりわけ東京証券取引所の世界における位置づけ、実力はいったいどうなっているのでしょうか。

2005年10月の世界証券取引所連合(WFE)のデータを基に分析してみました。すると、数ある世界の証券取引所の中でも、以下の3取引所が世界の3大証券取引所として浮かびあがってきます。

New York Stock Exchange (NYSE)

Tokyo Stock Exchange(東証)

London Stock Exchange(LSE)

これら3大証券取引所のそれぞれの国内市場(米国、日本、英国)における時価総額を、2005年の1月、4月、7月、9月時点で月別に並べたものが下の数字です。

     1月      4月     7月     9月(単位:100万US$)

NYSE  12,389,293   12,410,409  13,331,996   13,167,413 (13.0%)

東証  3,526,140    3,457,990    3,466,858    3,954,200 (26.4%)

LSE     2,788,423    2,757,326    2,920,257    3,035.718 (21.2%)

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の時価総額は、2005年9月末時点で、13兆USドルを超えています。これに対して東京証券取引所は約4兆USドル。ロンドン証券取引所は約3兆USドルです。東証とLSEを合算しても、7兆USドルで、NSEのやっと半分といった状況です。各証券取引所とも前年に比較して好調な市況を反映し、時価総額を増加させております。特に東証は昨年比26%の増加となっており、株式市場の回復が時価総額の数字からもうかがえる結果となっています。

次に、これら3証券取引所に上場されている上場会社数の状況を見てみましょう。これら3大証券取引所の2005年における月別の上場企業数は、次のような推移となっています。

     1月     4月    7月    9月(単位:社)

NYSE    2,299       2,288       2,284      2,279

東証     2,301       2,327       2,326     2,318

LSE     2,844       2,942       3,008     3,013

各取引所の上場企業数は、LSEが3,000社とやや多いものの、NYSEと東証とともに2,300社内外で差がありません。

また、これら3大証券取引所の2005年における月別の取引総額を見てみると次のような結果となっています。

                      (単位:100万US$)

         1月   4月      7月     9月    1~9月累計

NYSE  1,081,150   1,234,327  1,061,643    1,271,683   10,386,413 (22.4%)

東証  252,997     278,190    258,130      456,385    2,809,010 (13.9%)

LSE    434,747    466,465    476,197      504,045    4,171,192 (9.5%)

なお、( )内は1~9月累計の前年比の数値%です。

1~9月の累計取引額で、NYSEが10兆USドル、LSE4兆USドル、東証2.8兆USドルです。ここでもNYSEが他の2証券取引所を大きく引き離しています。

上記のデータから見る限り、世界の取引所の中で、ニューヨーク証券取引所が最大の規模と取引量を誇り、数ある他の証券取引所を凌駕しているといえます。これに東京証券取引所とロンドン証券取引所が抜きつ抜かれつのせめぎ合いをしながら、かなり後方からニューヨーク証券取引所を追いかけるという構図なのではないでしょうか。

(注)上記のデータは、WFEの OCTOBER 2005に掲載のものを出処としています。

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当ブログに掲載している情報に関して、細心の注意を払っておりますが、掲載した情報に誤りがあった場合や、第三者によりデータの改ざん、データダウンロード等によって生じた障害等に関し、事由の如何を問わずに一切責任を負うものではありません。また内容についていかなる表明・保証をおこなうものではありません。また、予告なしに、中止や内容の変更をおこなうことがあります。

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2005年11月 4日 (金)

最近の取引市場別のIPOの状況

私の職業であるIPOコンサルタントというのは、会社がIPOするまでにさまざまな課題やワークがあるのでこれを支援する仕事です。
私は、もともと中小企業診断士です。それも商業部門でしたので、IPOコンサルタントの仕事を始めた13年前に、流通系の会社のIPO支援から始めました。
しかし、今では、業種、業態に関係なくいろいろな会社の仕事をさせていただいております。
ブログ名に「メモ帳」としたのは、IPOコンサルタントの備忘録という意味であり、同時に、IPOに関する最近の動向や用語説明なども書きとめておきたいという理由からです。
「いまさら聞けないIPO」といった要望に応えてみようというわけです。

POという用語は、最近では特に珍しくもなく一般的に使われていますが、ほんの56年前の2000年ころには、「それ何の略ですか」と聞かれたものです。
Initial Public Offering」のことですが、2000年のITバブルの頃、外資系証券会社の人達が使い始め、あっという間に、証券関係者から個人投資家に至るまで広まったものと思われます。
まだ上場していない会社が証券取引所やジャスダック証券取引所に上場を認められて、始めて投資家に会社の株式を公開(オファー)するという意味なのです。
なお、上場後の流通マーケットのことは、セカンダリーと呼んで区別しています。

さて、イニシアルのオファーには、「公募」と「売り出し」があります。
公募とは、会社が上場に際して新たに株式を発行し、これを投資家に売り出すことです。ですから公募の場合は、会社の発行済み株式数が公募数だけ増加し資本金が増加します。
売り出しは、普通はオーナー創業者や役員などの株式を、上場に際して一般に投資家に売り出すことで、会社がすでに発行していた株式ですので、会社の発行済み株式総数は増加することはありません。資本金も増加しません。

上場時には、最低公開株式数が決まっています。最低公開株式数とは、公募の株数と売り出しの株数を合算した株数で、マザーズでは、1,000単位で、そのうち公募500単位以上となっています。単元株制度を取る会社は、500単元、そうでない会社は500株ということです。
ジャスダック、ヘラクレスの最低公開株数は500単位です。

単元株制度とは、一単元の株式を例えば1,000株と定め、1単元に1株の議決権を与える制度のことです。上場後の売買単位は1単元となります。今、1単元1,000株の会社のA株主が1,200株を持っているとします。この場合Aさんの議決権は1個です。200株には議決権が与えられてないので、これを単元未満株式と呼んでいます。単元株制度を採用しない会社は、1株につき1個の議決権が与えられています。

証券業界では、株式の流動性を高める観点から、1単元30万円程度が望ましいという見解があり、これを上回割った場合は、株式の分割を勧めてきました。これを利用したのがIT系の企業でした。株式の分割が盛んに行われ、高株価、株式交換の手法も併用して、M&Aによる企業買収で新たなビジネスモデルを吸収統合し、ビジネスを拡大していったのです。

ところで、東京証券取引所(市場一部・二部、マザーズ)、大阪証券取引所(ヘラクレス)、ジャスダック証券取引所(ジャスダック)について、最近のIPO市場の動向は、次のようです。

最近5年間(2000年から2004年)の新規上場の総数は、次のような推移でした。

       総 数  直接1・2部 マザーズ ジャスダック ヘラクレス 
2000
年  170   26     27社       97社          21
2001
年  165社   24      7社      98社          36
2002
年  132社   34社      8社     70社          20
2003
年  139社   34社     33社     63社            9
2004
年  181社   36社     56社     71社          18

直近2004年の内訳を見ると、東証一部・二部36社・構成比率20%、マザーズ56社・31%(東証直接上場92社・51%)、ジャスダック71社・39%、ヘラクレスは18社・10%でした。

この実績から、新興企業向けのIPO市場は、ジャスダック、マザーズ、ヘラクレスの順となります。しかし2004年は、マザーズが56社と大幅に新規公開会社数を伸ばした年でした。ところが、突然、200410月、マザーズ新規上場企業の粉飾決算の事実が明らかになりました。これにより中小証券会社のIPO審査能力に疑問符が打たれました。マザーズの新規上場に急ブレーキがかかりました。そのため、2005年は、9月末現在で18社の新規上場にとどまっています。

一方、ジャスダックは、上記のように推移していますが、依然、東証への市場替え企業流出が続いております。そのため、ジャスダック証券取引所は、マーケットメイク方式、成行注文、先物取引、オプション取引の導入などいろいろな対策を講じています。
ジャスダック経由で東証に上場した企業数は、次のような推移でした。

2000年 64
2001
年 43
2002
年 31
2003
年 34
2004
年 44

従って、ジャスダック新規上場から東証へ市場替えした会社を控除した企業数、つまり、ジャスダックの純増数(その他上場廃止等の数値控除前)は、次のようになります。

2000年 33
2001
年 55
2002
年 39

2003年 29

2004年 27

(注)新規上場についてのデータは、東証、大証、ジャスダックのホームページ掲載のものを出処としています。

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